Fall in Love.


九月中頃。
僕のとっても好きな季節。
太平洋高気圧に煽られた猛暑も、やっとひといきって言う感じ。
午後のゆるい時間、ふと気がつけば、涼やかな風が、甘い香りを運んでくる………。
こんなとき僕は、N360のカンヴァストップをフルオープンにして家路に就く。
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そしていつものように、大学の入り口にある横断歩道のこの信号で、停まる。
仕事帰りのこの時間帯にこの道を通って帰ると、必ずといえるほどのタイミングで、この信号で停められる。けれど、むしろ僕は、それを愉んでいたりもする。
それは、この大学の門から建物まで、両側をけやき並木でおおわれた路が延びていて、黄昏色に色づいた木々の枝葉と木漏れ日が、よりいっそうの美しさをもって、仕事で疲れた僕の心を、癒してくれる………。

もうひとつ、僕がこの信号で停まりたくなる、ほんのささやかな愉みが、あったりもする。
それは、『彼女』に逢えるから………。
でも、まだ名前も知らないし、まして、声なんてかけたりなんて………。
ただいつも、この時間、反対車線の停留所へ停まる“武蔵境”ゆきのバスに乗る彼女が、僕のN360が停まっている停止線の先にある横断歩道を、仲間達と笑いながらわたってゆくのを見つめているあいだのほんの一瞬、街の騒めきが、僕の中で止まってしまう。
だけど、そんな僕の思いが………、届くはずもなく………。
「きっと、君の瞳には、僕は透き通ってるんだろうなあ。」
ふと我に帰りそう気付くと、ほんの少しだけ、切なかったりもする。
けど、それでいいんだよ。
……それで。
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黄昏のなか、輝いた彼女の笑顔をみることさえできれば、 それはそれで、僕の一日が、ハッピーに締め括ることができるわけだし………。
それでいいんだよね………。
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by dn-racing | 2008-12-28 19:01 | story
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